2つの眼で見る歯科医療 —— 景色が変わるということ
2026/01/06
当院では、定期的に勉強会を行っています。
その内容は、院長の気分で始まることもあれば、私たちスタッフ側がテーマを決めることもあります。
ただし、そのテーマは驚くほど多岐にわたる――これは実際に働いている私たちの実感です。
今回の勉強会の特長は、「2つの眼」という話でした。
立場が変わると、同じ物事でも見え方が全く変わるという内容です。
■ 日本の歯科は“効率型の歯科市場”と評価されている
理由は5つ。
- 低診療単価・低医療費なのに
- 医療提供量が非常に多く
- アクセスが高く(医院数が多い)
- 国民の利用率も高く
- 世界的に見ても費用対効果が極めて高い
一見すると「良いことづくめ」に思えます。
しかし、これがすべて善なのか?
あるいは問題が潜んでいないのか?
ここを出発点に、意見交換が始まりました。
院長がまとめた内容は次の通りです。
■ ①「診療単価が低い」という前提の意味
この環境で生計を立てるには、
手際よく正確に診断し、確実に治療を終わらせなければならない。
つまり、構造的に
「効率性」=「生き残るための必須条件」
となっている。
■ ②「医療提供量が多い」という背景
歯科医師は 専門特化ではなく、あらゆる行為を広く深くこなす ことが要求されている。
世界的に見ると、これはかなり特殊な姿です。
■ ③・④「利」と「自覚」
院長が用いた“利”とは、「地の利」「時の利」「天の利」など、
個人の努力では動かせない要素のこと。
“自覚”とは、患者の問題意識。
この2つは、医療者側でコントロールできる領域ではないという話でした。
■ 医業と医療
そして本題へ。
「日本の歯科市場は非常に効率的だが、伸びしろはあるのか?」
「厚生労働省(医療)と経済産業省(産業)は、そもそもどんな立場をとっているのか?」
ここを整理すると、景色が変わって見えてきます。
■ 厚生労働省の立場
厚労省の関心は 医療費の抑制。
そのため、口腔機能への再注目が始まっています。
- 口腔機能の低下は、活動能力の低下と密接に関係
- 高齢者の誤嚥性肺炎のリスクとも関連
- これらは研究として確立されつつある
誤嚥性肺炎は 国家的医療費に直結するため、
「歯科をもっと活用せよ」という流れが強まっているのだそうです。
ただしここで重要なのは:
✔ 歯科医療費を増やす気はない
✔ しかし “再配分” は行う
✔ その主戦場が「訪問歯科・口腔機能管理」
という構造だということ。
院長曰く:
「医業という視点で見ると、歯科界は“個”ばかりを見ているように感じる」
というコメントも印象的でした。
■ 経済産業省の立場
一方の経産省は、まったく逆の視点を持っています。
歯科は成長産業である。
この立場の違いが、私たちには非常に興味深く、どこか不思議にも感じられました。
■ インプラントは成長産業か?
院長は私たちに問いかけました。
「インプラントは成長産業になるのか?」
私たちは、素直に「はい」と答えました。
しかし院長は続けて聞きます。
「では、それは“外需”として国を潤すのか?」
これは答えに詰まりました。
外需であるためには:
- 海外の方が日本を訪れ
- そのまま来院し
- 自費で治療を受ける
という構造が必要です。
保険証を持って来院されれば、それは外需にはなりません。
その当たり前の事実に、私たちは改めて気づかされました。
■ 「新しい病気」が見つかったらどうなるのか?
院長はさらに問いかけます。
「もし歯科に新しい病気が見つかったら、それは成長産業になるのか?」
私たちは混乱します。
というのも、
歯科の保険制度は“1960年代に確立した病気”を前提に作られているからです。
つまり:
- 新しい病気は、保険行政の“想定外”
- だから、もし発見されれば構造が変わる
- なのに私たちは長年“新しい病気はない”という前提で考えていた
という事実に気づかされました。
■ 内循環と外循環
医療の世界において、
- 「すでにすべて解決している」という内循環
- 「まだ解決していない」という外循環
どちらの眼で見るべきか。
少なくとも院長は後者の姿勢を示しているように、私には感じられました。
見方を変えると景色が変わる。
本当に、ただそれだけなのに大きい話でした。
—— 丸幸のつぶやきでした。
《追記》
もし、衛生士の方がこのブログを読んでくださっているなら――
そして転職をご検討中の衛生士さんがおられましたら、ぜひこの記事をご紹介いただければ嬉しく思います。
今後、当院の「個性」や「大切にしていること」についても、少しずつ書いていく予定です。
気になる点がありましたら、ぜひ勤務先候補のひとつとして検討してください。
詳細は下記よりご覧いただけます。
(ドクターズファイル掲載ページ → https://doctorsfile.jp/jobs/h/38240/offer/)
併せ、こちらのブログhttps://oralclinickosuga.com/article/とも仲良くしてください。治療については、こちらのHP(https://fuchu-tmdkosuga.com/)をお願いします。
当院HPにも治療内容の詳細がございます。
併せてこちらのブログとも仲良くしていただければ嬉しく思います。
----------------------------------------------------------------------
こすが歯科医院
〒183-0055
東京都府中市府中町1-8-13 村田ビル2F
電話番号 : 042-352-1551
FAX番号 : 042-352-1552
----------------------------------------------------------------------

