市場の波に立つということ──衛生士として考える“当たり前”が置き去りになっていないだろうか
2026/01/29
最近、歯科衛生士の給与が本当に高くなっている──
そんな話を、上司であるローチとよくします。
私の評価ではローチは経験豊富で、臨床も指導力も段違い。
本来であれば“ローチこそ相場より高くても当然”という存在です。
それなのに、ローチはときどきこんなことを言うのです。
「丸幸、お前さん達衛生士さんの給与って……今の相場からみると、ちょっと“異常値”だよね。」
この一言を聞いたとき、私は胸がドキッとしました。
ローチが高いのではなく、衛生士の給与が相場より明らかに高い──。
その“空気”を、実はローチの方が先に気にしているのです。
(こういうことは、直接言わなくても“察する”場面があります。)
確かに、すべての職場がそうだとは限りません。
ですが、世間の感覚から離れた水準の話が聞こえてくるのも事実です。
「分相応」という言葉があります。
同じ額でも“適正”に見えるか、“砂上の楼閣の栄光”に見えるかは、人によって変わるもの。
もし高給与でも、離職率が極端に低く、職場が安定しているなら何も言うことはありません。
でも実際には、離職率は相変わらずで(※数字は控えます)、
その数字を“良い状態”と判断するのは、正直なところ難しいのです。
4年制大学を出た方より高い、あるいは修士を修了した方より高い──
そんなケースもちらほら耳にします。
市場の論理からすれば、
「払えるところが払えばいい」
これは確かに正しいのでしょう。
でも、まだ何もできないうちから高給取りになれば、その後の人生で苦労する──
そんな話をローチから聞くたび、私は自分の立ち位置を考えさせられます。
■ 当院で積み重ねている「当たり前」
企業で働く方にとっては普通のことかもしれません。
それでも私たちのクリニックでは、研究を続けながら、あえて丁寧に積み重ねています。
① 予防には1次〜3次があることを理解し、臨床に落とし込むこと
多くの衛生士さんは1次予防で止まっている印象があります。
② デジタル技能の習得
エクセル、ワード、Dropbox、OneDriveなど、外部講師に教わりながら基礎から学んでいます。
③ 院内勉強会を継続し、質の底上げを図ること
④ 衛生士業務の“当たり前”を当たり前にするための訓練
⑤ その他、社会人として必要な基本スキルの獲得
これらを知って働くのか、知らないまま働くのか。
この差は、時間が経つほど大きくなっていきます。
■ 市場経済という“波”を前にして
市場の波に乗るためには、サーフボードに立つための準備が必要です。
ローチはよく、「準備のない人ほど波にさらわれる」と言います。
デジタルを扱えないまま社会に出て、本当に市場の波に乗れるのか──
私は正直、そこに不安を感じます。
もちろん、
「給与が高いところに行けばいい」
という声もあるでしょう。
でも前提には、“当たり前を身につけていること” があるはずです。
それを知らないまま、給与だけが上がっていくとしたら──
もし歯科業界全体の常識が変わったとき、困るのは誰なのか。
この問いだけは、胸の奥にずっと残ります。
給与は本来、労働の対価です。
そしてその対価には、相応の準備が必要です。
「人が足りないから」と無理に給与だけ上げれば、
その場しのぎの中に“歪み”が生まれます。
そしてその歪みを背負うのは……結局、私たち衛生士自身なのかもしれません。
■ 当院が選ぶ道
当院はこれまで通り、衛生士4名体制を維持する努力を続けます。
しかし同時に、身の丈に合った 等身大の経営 を選びました。
その一環として、診療時間を30分前倒しすることになりました。
働き方の見直しを通じて、私たちの臨床がより良くなるよう努めていきます。
丸幸
もし衛生士の方がこのブログを読んでくださっているなら──
そして転職を検討されているなら──
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当院の「個性」や「大切にしていること」についても、少しずつ発信していきます。
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