こんな診療科が入るのか?と、“か”つながりと一人で、洒落、駄洒落で悦に入っている所で、今回協力をしてくれた、クーさんの登場。
すぐ彼が登場する訳では無かったので、この廃ビル?と思われるぐらいの風貌が物珍しくてひたすらに覗き込んでいた。ジーっと覗き込んでも仕方が無いので、何気に眺める。そんな感じだ。芸もなくいつものように、アイスコーヒー。ブラジル育ちのコーヒーは、何故かブラジル流にこだわってしまう。もうとっくに、ブラジル的飲み方など、忘れていると言うのにも関わらず。ま、ささやかな意地と個人としては流している。多分、自分ながらに勝手に本場の飲み方と違うって奴が嫌で、いつの間にかアイスコーヒーが定番になっているようだ。ま、人間の習慣なんて身勝手な物だから仕方が無いと、個人としては解釈している。
ウチャンと、まったりとアイスコーヒーを飲む。流石に暑いのだろう。彼もアイスコーヒーだった。
ぼんやりと窓腰を覗き込もうとすると、ふとやたらに従業員が多い事に気が付く。思わず、ウチャンに声をかける。
”あれ、随分人多くない?““日本だと、こんなに人がいないと思う。この規模のルノアールだと多分、4人ぐらいじゃないかな?ホールを抑えるのは。”
「人件費が安いから可能でしょう。」“そういうもの?”「そういうものです。」
これ以上、聞いても仕方が無いから黙って窓越しを覗き込む。果たして何を考えていたのか、教授と会えるかも分からないし…
多分、そんな心境が、好奇心と言う形で高ぶっていたのだろうか?今更ながら、そんな風に思える。
多分8人、いや、10人はいる気がする。数えもしなかったので分からないが、多分、10人はいる、そんな感じかな?
ふと、向こう越しに、背の丈は170もないモヒカンの筋肉質の兄ちゃんが見える。
性病?いや、恋人の姉ちゃんが悪い病気になったからその付き添い?勝手に失礼な事を想像する。多分失礼だろう。嫌、絶対に失礼だ。全てはあの標榜に影響を受けている事が分かりつつ…
でも、何か言葉にならない違和感を感じつつ、腕組をしているモヒカンの兄ちゃんに興味がそそられる。
そうこうするうちに、クーさんが現れる。
「どうも、始めまして**と申します。」
バリバリの大阪弁だ。こう言う場所で聞く大阪弁は逞しい。そんな気もする。月並みの社交辞令を済ませ、唐突に話が始まる。
「ところで、先生、今回タイには、何で来よりました?」
またこれだ。
正直、癖々して来ている。何度もメールをした。実際、メールでもしつこいぐらい、返答をしている。
“只、意見を貰いたい。”
方向性がイェスなのか、ノゥなのか、意見を貰いたい。
別に学会で発表したいとも、有名になりたいとも、価値観のせいだろう。特にあたしには興味が無い。イェスで広めるべきならば、巻きこんで頂ければ良いし、別に、興味がなければ、適当にあしらって返せばいい。
地位欲と言うのだろうか?多分、名声と言い換えるべきだろう。特に、そんな感情もない。只、知りたくて調べていたら、勝手に、何かの関わりを見つけ、その関わりが真なる物なら、世の中に公表して貰いたいと思っているだけ。
実際は、分からない。
価値無い物ならば、それでいいと思ってもいる。あたしの治療の中の、匠と言うエキスの中にしまえばいいだけだから…
こんな回想を書いている最中も、ポジショナーの患者治療は行っている。
別に個人の戯言だから、あまり影響を受けて貰いたくもないし、“そんな世界もあるのだ。”で、個人的にはいいと思っている。