こすが歯科医院
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咬合の進化

咬合の進化

2014/12/03

ヒトが今日のような咬合を備えるようになったのは、人類学的見地から咬耗を開始し始めてからという事がいえます。

類人猿のお話で、開閉運動以外、つまり、咀嚼運動を負け組みであるヒトの祖先が始めたということは頭に入っているかと思います。
類人猿に近い、チンパンジーとゴリラそして、私達、ヒトの違いを思い返してみましょう。

例えば、姿勢はいかがですか?
例えば、頚堆からのS字曲線も大いに違うかもしれません
ヒトは基本的に、上前歯が下前歯を覆い隠すように生えています。(反対に生えているのは類人猿)

そして、一番咬耗という見地で見ると類人猿は磨耗せず、ヒトはしています。

化石のサルでしか私達は比較する事は出来ませんが、類人猿の祖先は犬歯が異常に発達をして、その一方で私達、人間はどんどん退化していきます。小さくなって、先に触れたように咬合様式の変化を伴います。

まずヒトは極端な切端咬合を伴うようになります。
この理由は諸説あるようですが、一つだけ過程を話していきましょう。
ヒトは雑食性で硬い生肉や草木を無理して咀嚼する必要がありました。雑食する為には無理して水平に顎を動かす必要がでてきます。
その雑食に適応する為に、犬歯は退化したというわけです。
水平に動かす為には、退化したほうが動かしやすいからです。

そして、臼歯部は異常なほどに咬耗していく。
この臼歯部の咬耗が実は、咬合障害を作る大きな一つの因子になっています。

ちなみに異常な咬耗を防ぐには、犬歯の役割が大きく関与します。この犬歯を重要視した役割を考えた咬合様式をミューチュアリー・プロテクド・オクルージョンとよんで、天然歯の理想咬合と考えられています。

少し現象としての進化の歩みを整理していきましょう。


1) ヒトの進化の歩み

脊椎動物の祖先は、約5億年前に魚類として水中生活を営んでいました。この魚類の負け組みが水中から陸辺に追いやられるように浅瀬に移動し始めます。この頃は広葉樹が水辺付近にあるため、彼ら弱い小魚はその葉を掻き分けるように生活していたと考えられています。鰓を脚のように使って水中で移動していたといわれています。両生類に似た活動が結果できるようになっていったと考えられています。

 

そして、そこでも負け組みが生まれます。
俗に言う両生類の子孫になります。
彼らは、更に陸に陸にと追いやられ、鰓ではなく内臓から肺が分離したと考えられていますが、鰓とは別に肺を会得します。これは腸が分離したと考えられています。進化を相当に早く解説していますので更に続けると、口も腸から分離して出来たと考えられています。肺魚なんていう言葉をご存知かと思います。その頃の子孫ですね。
鰓と肺両方で生活できるグループの中から肺を会得して陸に出て行ける脊椎動物も出て来ました。
しばしば上がりながら、生活圏を陸に広げていったと考えると分かりやすいかもしれません。但し、彼らはどうしても水辺から離れる事は出来ませんでした。
それは、肌の乾燥を防ぐ手立てが無かったからです。もう少し詳しく書くと体温調整を水につかったり、日光を浴びたりしてしか出来ないという側面があったからです。しかし、水辺にも当然生存競争が行われます。
どういうことかと言えば、水辺にいられないもの達も出て来ました。俗に言う負け組みです。彼らも適応力として陸辺で生活を出来るようにしなければなりませんでした。爬虫類の誕生です。今から2億5千万年前の事です。
原始的な爬虫類から多種多様な爬虫類が誕生します。
その中で次々と進化が始まります。その際たるところに恐竜がいたと考えられています。
この進化の過程で爬虫類の一部は原始哺乳類への進化の橋渡しをしたと考えられています。哺乳類様爬虫類です。
これも実は小さな爬虫類が適応に迫られ誕生したと考えられています。どういうことか爬虫類の生活をしていく上で、哺乳類と違いその弱点は卵を産まなければならない。温度変化に弱いなどがあげられるかと思います。
この負け組は何を会得したかと言えば卵を体内で孵化させるなんていう技を会得して、種の存続で確実性を守るようにしたのです。
一般的に種と言う世界では簡単に食べられてしまう種は一度に大量に子孫を残す、あるいは1年の間に何度も子孫を作るかになっているのはご存知かと思います。
その時、弱い哺乳様爬虫類は何をしたかといえば卵を体内で孵化させ、栄養を例えば、鳥のように親が与えるのではなく最初のうちは体内からの分泌液(乳に相当する)物を飲ませ、ある程度大きくなってから世の中に出したと考えられています。
この系統で進化をした一過程にいるもので、カモノハシが考えられています。
そして、その先にねずみのような小さな哺乳類がようやく生まれたと考えられています。
ちなみに哺乳類はお母さんのお腹にいるときに胎児の発生中にその形態が、爬虫類からの進化を示す事は知られています。その為爬虫類から哺乳類は生まれたと考えられています。
それと同時期、やや早い頃、爬虫類でも木々で生活するものも生まれていました。鳥類の祖先の誕生です。
陸地の負け組が新しい環境に追いやられ、その追いやられた環境に適応を示す為に、長い時間をかけて進化をしたものと考えられています。
かつて、水中は鮫の子孫である軟骨魚類がその生存権を広げ、この世を謳歌していました。水中の海底爆発、気候の変化で、その状況は次の世代にとバトンタッチをする事になりました。今、海にいるお魚と考えればほぼいいかと思います。
そして哺乳類の祖先はねずみのように小さかったと書きましたが、地球に同じように気候の変化が来ました。氷河期です。
それら哺乳類は食物の確保や他の動物の脅威から身を守る為に地上4足歩行を主としていました。
恐竜のような大型爬虫類は死滅をして原始哺乳類の世が誕生しました。死滅した理由は様々ありますが、一番は食料と考えられています。寒くなる事で広葉樹から針葉樹に変ったのが一番大きな要因と考えられています。

一度整理しましょう。
脊椎動物に関連する時代は5億年前です。この時代は魚類と両生類が特に栄えた時代でもあります。2億年前になると爬虫類が栄え始めます。約7800万年前になると哺乳類が栄えるようになっていきます。

そろそろ、おサルさんの話に戻しましょう。

約5500万年前、ぶら下がったり、とびはねたりする原始的な哺乳類が現れます。そして手指は5指形で原始的胎盤をもち、雑食に適していたなんて考えられていましたが、まだまだサルには程遠く、狐様な小動物でした。これも地上の脅威から身を守る為、樹上で生活してそしてそこで食料を得られる事が分かった為、負け組の新しい適応でしかなかったのです。
もう少しおサルと分かるのは今から約3400万年前までさかのぼる必要があります。
ただし、このおサルと言う表現もまだ霊長類と言う祖先にはなり得ないものです。

ただこの動物は食物を手を使用できた事、坐骨で座る能力を持っていること、手を持つ事で口や歯で獲物を捕獲する必要が無いところ、脊椎と頭蓋がなす角度は普通の哺乳類は180度のところ135度であった。これを意味する事は頭の位置が変り、視覚と聴覚を司る器官を発達させる事になりました。

霊長類の祖先といえるおサルが登場するのは約1200万年前になります。
この骨格は直立したり、背筋を伸ばして座ったり、ナックルウォーキングと呼ばれる高度な歩行様式を持っていました。そして把握する能力を持っていました。

おサルおサルと言っていますがヒト科を含む類人類かと、類人猿科と、テナガザル科に分離して考えなければならない事はどこかにしまっておいてください。どれも霊長類と言うグループに属します。

進化はこの逆ですがね。つまりテナガザル科、類人猿科、類人類と言う順です。
そして類人類は、非人類的類人類と、人類を時間軸で分けて考えています。

その人類の誕生は今のところ約450万年前と言われています。類人猿と類人類の明らかな分化という瞬間です。これは化石が類人猿と人類を結ぶミッスィングリンクとして結ぶ為、新たな発見が新たに古い時間を呼び起こすものになっています。

さて、前回少し触れたように人類は類人猿に負けて草原に追いやられました。
ここで少し別な見方を入れておきましょう。
まず初期の頃は、今のチンパンジーの生活とそう大きく変るものではなかったようです。しかし結果、樹上生活に追いやられているうちにまず、類人猿は以下の進化と言う適応を始めます。

1)胸郭が前後方向に扁平になる。
2)第10胸椎の棘上突起がまっすぐでなくなる
3)このまっすぐでなくなる事、すなわち、2足起立に適すようになる。
4)視線脊柱角が直角化して頸筋が退化する
5)この頸筋は頭部を水平軸上で脊柱を結ぶ役割を果たしている
6)脊柱と視線の方向を平衡にする役割がある。
7)この頸筋の退化は、ゴリラは平行ではなく、135度、ヒトは90度となる事を意味している。
8)但し、ヒトは頭部を垂直軸で回転する為の筋、例えば胸鎖乳突筋などは、他の霊長類と比較してももっとも発達している。

そして、樹上で2足生活をする為、木と木を長くなった腕で水平に移動する動き、ブラキエーションを獲得していく事にもなります。
それは次なる進化を適応として作りました。
1)運動器官特に手足が樹上で適すように改善され、視覚が発達する。
2)木の上での敏速な、そして尚且つ複雑な運動を可能にする。
3)この運動を滞り無く出来るようなる為に、中枢神経系が改善され脳の進化が急速に進む事になります。

 草原に立つ私達のヒトはまだ、樹上の類人猿と比較すると弱いものでした。2足で立てるとはいえ、樹上生活は彼らに取り大事なものでした。基本的生活スタイルはブラキエーションが出来るわけではなく、獣が襲ってきたときに慌てて木に登る、えさを果食から得る。たまに死肉のおこぼれに預かると言うものでした。ですので、樹上生活をしているものの、類人猿から見れば完全なる落ちこぼれに過ぎなかったのです。

草原に追いやられ、その生活は森から森へ草原を介して移動せざる得なくなり移動するようなものでした。これも始めのうちでした。
この際、ヒトの人類の特徴は以下のような事が上げられます。
1)腰帯の変化に伴い脊柱、下肢が変化
2)視線、脊柱方向の変化
3)頸筋の退化と胸鎖乳突筋の発育
4)目と脳によって統制された前肢の役割の確立
5)歯は戦いの武器ではなく咀嚼機能だけを果たすようになる
6)歯が武器ではなくなると、脳は気質的に優れ、その大きさを増加する
7)咬合の進化

その際、ヒトの祖先は川辺に立ったものはその浮力により、ナックルウォーキングをするのではなく2足歩行を更に勝ち得たものもいます。そして予め知っておいて欲しいのですが、この負け組はもともと小型な霊長類で、その重心も体の下部にあって一応よちよち、あるいはよたよたで歩いていたのではないかと今は考えられています。類人猿であるゴリラとかは重心は体の上部にあります。

根をほじくりそれを餌にする道を選んだ霊長類もいます。
森から森をその生活の術にしていたものもいます。
そして季節の移り変わりで動物が動くように、森の状況を把握して移動する霊長類も現れました。
しかし彼らは脆弱でした。
そんな彼らを大きく変化させた条件が実は、状況によって追い込まれた彼らの生活から来る知恵によりありました。
それは2足歩行(草原をなるべくすばやく移動するため)と、肉を食べる事でした。はじめは死肉です。
しかし、この肉に入っているグリコーゲンは脳の進化、もしかしたら発達を過度にさせる事になります。事実、ヒトの脳ほどこのグリコーゲンを求めるところはない事を知っておいてください。
そして脆弱とはいえ、ヒトは道具を持ち、最初は石を持って、他の草食動物、弱っている、あるいは年老いた動物を襲ったと考えられています。
しかし、だんだんと経験を重ねるうちに道具も動物の骨とか骨片の利用、石器の利用と脳の進化と供に大型化できるようになって行きます。
早々、その途中で人は火を自分達の身を守るものという事を知り、生肉を調理するようになり、そして火をおこすことを発明します。
約10万年前のお話です。
そして、3万5000年前、ネアンデータル人が誕生します。
気候は寒冷期に入っています。
彼らは知能的にも運動能力的にも(もしかしたら、今の私達よりもその上を行っていたのではないかという学者もいます)実はたいした違いはないといわれています。
ただし、彼らも次に誕生した、ホモサピエンスと言う種に滅ぼされてしまいます。
このネアンデータル人と我々との大きな違いは、彼らには軟口蓋が無かったと言う事です。この軟口蓋は、実は声を出すのに大きな要素を持っています。この難口蓋がない場合、あ行と、い行ぐらいしか話せないと言われています。

ネアンデータル人は火葬をして剥片石器を用い、絵文字も残し、毛皮でテントを作り、集落を作ると言う、結構高度な生活様式を持っていたようです。

しかし、ホモサピエンスの登場で、その生活圏を奪われ、滅んでいきます。
それは、先程記した、言葉を持てなかった事が大きな差と言われています。

どういうことかというと、ヒトはその生存権を負け組から、勝ち組と得た時、獲物を追ってアフリカからアジア、ユーラシア大陸へと移動していきます。
このホモサピエンス発祥はどうも、今のイラク~トルコあたりと考えられているようです。

ネアンデータル人は獲物をただ追うしか出来なかったのですが、ホモサピエンスは言葉の登場により経験を継承する事が出来ました。

ですので季節ごとにどこに行けば鹿がいるか、マンモスがいるかを、予め経験より知る事が出来たのです。
今から3万年前のお話です。
そしてこのホモサピエンスから、縄文人の祖先と弥生人の祖先に分化していくわけです。
まずは黒人が生まれ、縄文人ルーツから白人種のルーツも生まれたりしています。どう時間にアジア種も生まれたりもしています。

このお話はまたどこかの機会に。

2) 咬合の進化の歩み

 さて、長い人類の進化を相当短い時間でお話しましたが、少しだけ咬合の進化のお話を。これはまた、別の機会にでもお話できればと考えます。
 まずは反対咬合から、切端咬合、そして、現在考えられている正常咬合の時代へと移行します。
ところでこの切端咬合は、今から約200万年以来(ヒトが道具に出会えるのはそれよりもずーっと遅く、80万年前とか言われています)そして、それが続くのは、2000年前の弥生時代にさかのぼります。その頃、エジプト文明の大きな歴史が始まったりもします。そして、ここ10年日本人の顎がおかしいといわれ始めています。
どういうことかというと、顎が小さい、顎がしゃくれてきている(ひどい場合、反対咬合)
そして、それに伴い、体の弱い日本人が生まれてきている。心も弱い日本人も生まれてきているといわれ始めています。

さて、今回はここまでがそのお話になります。そして、だから、私は咬合にこだわっていると理解していただければ、嬉しく思います。そして、咬合の為には、どんな知識がいるか、ただそれを知っていただければいいのかなって思います。

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