■2013/12/04 花の命は短くて苦しきことのみ多かりき て言う奴
過去の連続が結果と言う言葉があるようです。この言葉の響きが、妙に気に入ったのか用いて来ましたがそろそろ収めたく思います。文章で生計を立てていない分、どうしても出だしの文章にすら悩む次第です。
さて、身体の痛みはほぼ無くなっても、咬合の安定性がどうしても獲得出来ない患者の治療でまた、悩みが生じます。噛む位置は本人、掴んできているのですよ。でも、アンテリアルガイダンスとしての被蓋関係と言うべきか、機能性のパターンとしてグループドファンクションなのか、カスピドファンクションで、リカバーが出来るのか…、と、まあ、咬合について悩む訳です。
例えば、加齢と共に摩耗が進むとする。その時、顎位は前後的には前にでていく事がある。ま、いわゆる加齢現象です。その時、平面性はどうなるのだろう?なんて事を、考える事があります。そうそう、こんな出来ごとがありました。
小話1
“花(はな)の命は短くて苦しきことのみ多かりき”の風流で良いなら、下の前歯の突き上げをそのままにして、上の部分入れ歯を作りましょうか?
そりゃあ、調子悪いな。では、どうすれば良い。
奥歯の臼歯の位置関係の摩耗と、前後的顎位考えないと行けないでしょうね。
じゃあ、そうしようか。
と、花の命が…と、原因を患者が明確にその意図を理解した場合且つ、難点が少なければ、先が見えやすいという物です。
対処療法であれば、花の命の短さを、小説のキャラクターにかける訳ではありませんが。そう花の慶次の如く、その先、修羅に患者を迎え入れるか、我らで修羅に入るのか、散々な展開が切り開かれるかもしれません。
ニアンス的には違いますが、「カッコ」を入れて考えると、“「上手く、おいしく食べられなくなった結果を呼んだ」食い物の恨みは怖いでよ”になるのでしょうか?
小話2
先のクエスチョンを考えていると、正にという現場に立ちあいます。これは、暫くは初診患者の受け入れを止めようと決める前に予約のあった患者から知った感覚でした。先に紹介した事象が、まさにこのタイプ。散々な結果で、紹介による転院。ハサミ型咬合で、下前歯の突き上げを喰らう。上の天然歯がイカレ、補綴に変化。突き上げの様は、『ざまあ無い』というぐらい上の歯に衝撃を与え、ま、所々で紹介していた過剰接触と言う奴ですね。歯肉は腫れるわ、歯肉から出血がするわ…しかし、上手く噛めない。
これじゃあ、噛めないわよね。口蓋側の膨らみは、分厚いし。突き上げ型の咀嚼パターンは顕著に歯牙に負担を与えるし…
この対処だけを考えればよろしいでしょうか?
ま、そういう方向で。
すると、この歯牙形態をどう変えるか。次に、単純に変えれば解決するか、そこだけが悩ましい。出っ歯にして当たらないようにするという単純な作戦は、多分、上手くいかないでしょう。顎が、出っ歯にした(前に押し出した分)咀嚼時にあたりに行くから余計ややこしくなる可能性もある訳です。さてはて、どうしたものか…
顎の回避運動を、顎運動時にしていないと良いのだが…
実は、奥の歯が疼くのも関係があるのでしょうかね?
もう、イヤ。対処療法で対応できるのだろうか…
こういう世界も臨床の現場にはあるようです。歯科の仕事は大工作業と言えど、虫歯で済むのなら、これはありがたい、と、思える時もあります。
メディアベースの単純な歯周病で済むのなら、これの方がありがたいのかもしれない。
ちょっと、咬合と言う世界を考えると、色々と奥深い所もあるのかもしれません。奥妙という側面も、人と人が関わる分、存在するのかもしれませんね。
臨床は、難しい。そう思います。
そして、怖いものです。