こすが歯科医院
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クーさんワールド

クーさんワールド

2014/12/02

クーさんワールドは続く。この人の前世は蟹かと思わず思いたくなるくらい、口から泡が吹くのではないかと言うぐらい、唾を口角に貯めながら話はエキサイトして来る。
ウチャンが気を利かせて、思わずアイスコーヒーの追加をしてくれたから場が維持できたが、あの勢いには正直、驚いた。

“結局、自己資金ではショートして、改めて借りる訳ですよ。なんでだと思います?”
さあ、この反応を合図に、これだと言わんばかりに話がスパークする。要点は、こんな感じだ。少し前に、かぶる感じの部分もあるだろう。

  • 開業したいかどうかも分からないが、ようやく本音を聞きだしたら、開業をしたい。
  • 開業をするのはいいが、何ら計画性を持っていない。
  • 為替の概念、この国のルールを一切、調べようとしない。
  • 結局、紹介したコンサルタントに全てを任せる形になる。
  • たまたま、彼が一度はやってみたい医院コンサルタントだったから何も言わず、協力してくれたけれど普通はしないよ。
  • 私と、友達だから協力してくれたのだけれど、普通は無い話のありがたみが分かっていない。
  • 居抜き物件があったから、安く話をまとめてやったのに、無駄な投資をした。
  • 任せたのなら、郷に入れば郷に従えでは無いけれど、不要な設備投資はいらないはずだ。
  • 結局設備投資をして、運転資金が無くなって、コンサルタントの意地でマッチャンが個人で貸しましたんや。

ざーっと、独演会を聞きながら整理されていった内容と言えば、こんな感じだ。正直、疲れた。

“そんでね、彼、始めから患者日に何人も来よりました。だから、安心していたんですよ。”
急に話がふられた感じだ。
“でね、そのままやれば軌道に乗るかと思えば、急にデジタル化したいと云わはりましたんや。もう、驚きでしょう?”
「はあ…」
独演会の熱にかなりやられて頭がショーっとして来ている感じだ。
“でね、先生、デジタルレントゲン日本で幾らしやはります?”
唐突に話をふられた。聞き入っていた側からすれば、あまりに唐突で舌がもつれてしまった。
「9000万。嫌。」
彼の顔が一瞬、この人何を言ってるの?と、大阪弁が露骨に見えるぐらいのしかめっ面の顔に変わる。慌てて、言いなおす。
「900~1800万円ぐらいかと思うのですが。」
“そうでしょ。その運転資金を、全部投資して、買いよりました。もう、アホでしょう?”
「まあ、そうでしょうか?」
ウチャンに思わず救いの目を投げかけるあたしがいた。彼もどうして良いか,と惑っている感じだった。すかさず、ク−さんワールドが続く。
“もう、参りましたわ。患者がいるにも拘らず、軌道に乗ってからでいいでしょうに。(話が変わる。)まあ、居抜きで始めから患者が来るのですよ。それで、小遣いを稼いで、それからでも良いと思ったのに、いきなり設備投資ですわ。もう、何を考えているのか…”
一人で合点をしたように首を振るクーさん…

「で、どうされたのですか?」ウッチャンが、合いの手を上手に入れる。そして、思い出したように、話は続く。
“全部つぎ込む訳ですよ。結果、運転資金はこうですわ。”手で、ぱぁっとオケラになった事を表現する。
“日本製にこだわるのは良いですよ。でも今じゃないでしょ。関税もかかるだろうし…それからですわ。どうしよう?いきなり相談ですわ。聞く所、日本では手広く派手にやっていたみたいですが、こちっでは、全然です。アキマセン。何も考えていなさ過ぎですわ。結局、マッチャンが潰すか、存続させるかで、今回始めて引き受けて見た医療コンサルタント業務、意地があるという事で、彼が個人的に貸しました。悪い事しましたわ。”
首を哀しげにふるくーさん。あかん~わ、この人は。
あたしと言えば、嫌あ~、参ったな、てな感じで、ばれないようにゆっくりと首を左右に運動させる。緊張と勢いと、大阪弁の暑さにやられ始めたという事なのでしょうかね?

「で、***先生、どうされました?」
ウチャンが聞く。

この話の結末が近づいたのだろう。クーさんがため息を漏らす。

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